参考音源 / Trial listening
楽曲情報 / About this music
作曲者名:平野 達也(Tatsuya Hirano)
演奏時間:5分00秒(万葉の麗人のみの演奏時間)
グレード:4(中〜上級)
スタイル:アンサンブルレパートリー
↓スコアサンプルはこちらから↓
※この「万葉の麗人」には「18世紀の花束I」という愛らしい演奏会用ピースも付録されています。
「万葉の麗人」楽曲紹介 / Music introduction
「万葉の麗人」とは、万葉の代表歌人、額田王(ぬかたのおおきみ)のことを
指します。
・・・あかねさす 紫野行き標野(しめの)行き 野守は見ずや 君が袖振る、
こんな歌を残した人です。
この人の歌に魅せられて合唱組曲も書きましたが、この八重奏に関してはそこまで直接的には表面化していません。
しかし彼女の歌にある瑞々しさ、馥郁たる調べ、そして時として凛々しく勇ましいところ、そのような多様な表情からインスピレーションを受けたことは確かです。
特に作曲中抱き続けたイメージとしては、立ち姿、彼女の衣服が柔らかく風になびく様、そのような光景がいつも頭の中にありました。
柔らかい彼女の絹の衣服が風に吹かれるまま、なびき続ける様を・・・
この度の出版にあたり大幅に改訂をしました。
またオリジナル編成とは別に、オシア譜も付けました(7BbCls.+1Bcl.)。
このオシア譜もオリジナルから移し替えるだけというインスタントなものではなく、この編成の意味を一から考慮し書き直したものです。オーケストレーションも響きも違いますので、オシア譜はオシア譜でまた別の曲といったほうが適当なのかもしれません。
作曲者としましてはどちらのバージョンもより多くの方に演奏していただけることを願ってやみません。(平野 達也)
「18 世紀の花束I」楽曲紹介 / Music introduction
この「18 世紀の花束I」は、自身の18 世紀の音楽研究からその途上で出会った4 曲を選んでメドレーにしたものです。
この時代の音楽は他に比して馴染みの薄いものかもしれませんが、その愛らしさ、親しみ易さゆえに、演奏する人聴く人にきっと気に入ってもらえると思います。
アンサンブルコンサートのプログラムに最適かと思います。
第1 曲
ストラヴィンスキーもバレエ「プルチネラ」に用いた曲。長らくペルゴレージの作とされてきたが、今ではガロ(1730-1768?)という人の作と判明しています。
曲は愛らしく静かに始まり、続くTutti ではオブリガート風のきらびやかな楽句も聴かれます。
この優美な旋律を、よく歌って表現してもらえればと思います。
第2 曲
このファッシュ(1688-1758)という作曲家、初めて聞く方が多いと思います。バッハと同時代人。
譜割は見慣れないものですがそのまま使っています。
今は手軽なので参考までに原曲を一度聴き、耳から入るのも手かもしれません。
第3 曲
ペルゴレージ(1710-1736)の当時大変流行った「奥様女中」(1733)というオペラの中の曲。
多少のユーモアを込めて編曲していますので、それが出る演奏を望みます。
第4 曲
ムーレ(1682-1738)のこの楽曲、誰もが聴いたことのあるような親しみ深いメロディー。これこそがこの曲の魅力です。
その旋律をここではコラール風に編曲してあります。転調を経て、きらびやかに、そして高らかに歌い上げて全曲を閉じます(演奏時間:約5 分)。
※この楽曲にもオシア譜を付けていますが(7BbCls.+1Bcl.)、ただ単にオリジ
ナルオクテットの音を移し替えるだけではありません。ですのでオリジナル版
とオシア版は、別々の曲と考えていただいた方がよいかと思います。(平野 達也)
楽器編成 / Instrumentation
Eb Clarinet
Bb Clarinet 1
Bb Clarinet 2
Bb Clarinet 3
Bb Clarinet 4
Eb Alto Clarinet
Bb Bass Clarinet
Eb Contra Alto Clarinet
平野 達也(Tatsuya Hirano)
関西大学法学部卒、大阪音楽大学大学院作曲専攻修了。作曲を近藤圭氏に師事。
「第15回名古屋文化振興賞」受賞、第2回東京佼成ウインドオーケストラ作曲コンクール「審査委員会特別賞」、第10回トロンボーンアカデミー&フェスティバル「優秀作品」各受賞、「第3回東京国際室内楽コンクール」、「ピアノデュオ作品による第5回国際作曲コンクール」各入選等、受賞歴多数。
ジャズピアニストとしても2014年より活動再開、関西ライブハウスを中心に活動中。
作品はジャズから現代音楽、オーケストラから小アンサンブルまで作編曲を問わず幅広い分野にわたり演奏回数多数。親しみ易い学生のための楽曲にも力を注いでいる。出版譜、CD、委嘱作品多数。
代表作:吹奏楽のための「ノットゥルノ」、「青と赤銅色のオーバード」(ティーダ出版)、「ラプソディア・コンチェルタンテ」〜トロンボーンとピアノの為の(日本トロンボーン協会)、「鳥の庭」〜Ob.Cl.Bn.の為の(ウインドアート出版)、編曲作品「七つの子」オーケストラ版、「タクタキシヴィリのフルートソナタ」吹奏楽版、等がある