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Sheet Music and Music Score

販売楽譜

[吹奏楽]エンペラー・ヴァリエーションズ -ハイドンの主題による変奏曲-

尾崎一成 作曲

商品番号 : MEOR-002

  • [吹奏楽]エンペラー・ヴァリエーションズ -ハイドンの主題による変奏曲- image1
参考演奏 / Trial listening


楽曲情報 / About this music

作曲家名:尾崎 一成 (Kazunari Ozaki)

演奏時間:9分30秒

グレード:4(中〜上級)

スタイル:オリジナルレパートリー
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楽曲紹介 / Music introduction

この曲はヨーゼフ・ハイドンの弦楽四重奏曲《皇帝》第二楽章(ドイツ国家)の主題を用いた変奏曲で、2012年に当時私が所属していた、作曲の会「Shining」の第5回作品展と演奏団体の大江戸シンフォニックウィンドオーケストラのために書いたものです。
ファンファーレ風の序奏に続くドイツ国家の主題と特徴的な3つの変奏とコーダから構成されています。
第1主題はアイリッシュダンス、第2主題は星の瞬く夜空、第3主題は映画音楽風の勇壮なマーチをイメージしていますが、各主題は一般的な変奏でなく、変奏した主題を繰り返し用いる「再変奏」を含んでおり、この点では一般的な変奏曲とは少し異なります。
一方でいわゆるオーソドックスな吹奏楽曲の響きも意識していることは一つの特徴です。
色々と書きましたが、基本的には楽しく自由に演奏していただければ幸いです。(尾崎一成)
Free Memo

「変奏曲」とは、その名の通り、あるひとつ(あるいは複数)の主題を様々な形へと変形してゆく作品のこと。そう聞くと簡単なように聞こえるかもしれないが、作曲家の技術や、音楽性が最もよく現れるのが変奏曲でもある。
 そんな様式に果敢にも挑戦したのが作曲家の尾崎一成である。尾崎は、作曲はもちろんのこと、音楽学の分野で研究を行っている若手研究者のひとりでもある(そんな方の解説を、同じ音楽学の分野で研究を行う私が書くのはおこがましいかもしれないが...)。そんな若き作曲家が、古典派の巨匠J.ハイドンが1797年に作曲した弦楽四重奏曲《皇帝》(現在では、ドイツの国歌としても良く知られている)の旋律を主題として作曲した変奏曲が、本作《エンペラー・ヴァリエーションズ―ハイドンの主題による変奏曲》である。それでは、尾崎がハイドンとどのように対話し、自身の音楽として昇華したのかを見てゆくことにしよう。
 序奏は、すでに主題となる旋律の要素を取り入れた豪快な音楽。この序奏は、本作が「弦楽四重奏」という、いわば「小さな」編成の音楽を主題としつつ、それを「吹奏楽」という「大きな」編成の音楽にするという宣言のようなものであろう。
 続くAndante Cantabileで、本作の主題である、ハイドンの《皇帝》第2楽章の旋律がオーボエを中心に提示される。この主題の提示は興味深い点が2つある。まず、原曲となるハイドンの《皇帝》とは、小節割りが異なっているのである。原曲では、旋律最初の2つの音(本作ではF音とG音)はアウフタクトとなり、本作の3拍目の音(A音)が小節の頭の音となっている。それにも関わらず、本作では、最初2つの音が小節の頭となり、音楽のイントネーションが少し変わっている印象を受けるのだ。もうひとつの興味深い点は、本作の主題となるハイドンの主題を、オーボエを中心とした木管楽器群で提示していることである。実は、J.ブラームスの《ハイドンの主題による変奏曲》――ここで本作の副題にもう一度目を向けてほしい――で、ブラームスがハイドンの主題(実はハイドンのものではないのだが)を提示する際にオーボエを中心とした木管楽器群を使用しているのである。これは、偶然の産物かもしれないが、もしかしたら同じ題名を持つブラームスへの作品に対し敬意を表した結果かもしれない。
 主題の提示後、3つの変奏が続く。尾崎によれば第1主題は「アイリッシュダンス」、第2主題は「星の瞬く夜空」、第3主題は「映画音楽風の勇壮なマーチ」をイメージしたものである。そして、またもブラームスの《ハイドンの主題による変奏曲》と関連付けられるかもしれないのが、練習番号BB(参考音源7:28辺り)で、主題が完全な形で金管楽器群によって再現される部分。ブラームスも彼の作品の中で、変奏曲の最後で主題を力強く再現しているのである。
 何にせよ本作は、ハイドンの美しい旋律と、尾崎の見事な手腕が、これ以上ないほど密接に結び付いた結果生まれた、吹奏楽の世界ではあまり見ることのできない優れた変奏曲であることは間違いないだろう。(石原勇太郎)

楽器編成 / Instrumentation

Piccolo
Flute 1
Flute 2
Oboe
Bassoon
Eb Clarinet
Bb Clarinet 1
Bb Clarinet 2
Bb Clarinet 3
Alto Clarinet
Bass Clarinet
Alto Saxophone 1
Alto Saxophone 2
Tenor Saxophone
Baritone Saxophone

Horn 1
Horn 2
Horn 3
Horn 4
Trumpet 1
Trumpet 2
Trumpet 3
Trombone 1
Trombone 2
Trombone 3
Euphonium
Tuba
String Bass

Timpani
Perc. 1(Mallets):
 Xylophone
 Glockenspiel
Perc. 2:
 Snare Drum
 Suspended Cymbal
Perc. 3:
 Crush Cymbals
 High Tom
 Finger Cymbals
Perc. 4:
 Bass Drum
 Tambarine
 Wind Chime

尾崎 一成(Kazunari Ozaki)


1989年、大阪府生まれ。高校時代に作曲を、大塚晃一氏に師事。その後独学。管楽器を中心に様々な楽曲の作編曲を担当している。第10回記念弘前桜の園作曲コンクール一般の部、第1位、弘前市長賞、及び下山一二三賞。第12回TIAA全日本作曲家コンクール奨励賞。第2回東京かつしか作曲コンクール入選。第7回日本管打吹奏楽学会作曲賞本選ノミネート。同志社大学文学部美学芸術学科卒業。同大学院修士課程修了。現在、京都市立芸術大学大学院博士後期課程にて音楽学を専攻。音楽学を根岸一美、柿沼敏江の両氏に師事。